②先生の悩みを解決する方法

どんなに好きな仕事でも、ストレスをためてしまうことがあります。

ピアノ教室の運営の難しさは、ストレスを感じ始めた時からが本番です。

責任感が備わってきた証でもあると思うんですよね。よりプロフェッショナルにならなければ、とか。

中堅の差し掛かる前がちょっと苦しいのではないかと実感として思います。


例えば、困った生徒さん。困った親御さん。

指導以前の問題で、ストレスがたまってしまうのは一番体にも心にもよくありません。

会社員だったら、お友達と上司の愚痴を言い合ってストレス解消できても、自分の生徒さんの愚痴となると言いにくいですよね。

なんか天に唾を吐いているようで…。結局、自分のレッスンが良くないからだと自己嫌悪になったり…。

 

そんな自己嫌悪や罪悪感のような気持ちから、人知れず胸にしまい込んで悩んでいる先生も多いのではないかなと思います。

 

すごくレッスンに乗っていてとんとんと進む安心な生徒さんもいれば、そうじゃない不安要素がある生徒さんもある割合で出てきます。でも、そのへんをなかなか人には言えませんよね(汗)

その、言えない部分についてここでは書いてみようと思います。

 

どんな点でストレスを感じるか、考えてみました。

 

「相性がよくない」

いきなりです(笑)

何を言ってもへりくつばかり返ってくる。何を言っても言い訳ばかり返ってくる。わがままばかりいってレッスンにならない。むしろ対抗心のような反発をしてくる。

 

自分が「先生」として認められていないという気持ちになって、焦りのあまりかえって空回りしたりします。

そして、自分自身も「この生徒さんとは気が合わない」要するに「好きになれないタイプ」と感じるようになります。

 

でもそんなことを思ってはいけない、どうにかしてうまくやっていかなくちゃ、とある意味自己犠牲で自分を押さえ込んでレッスンするわけですから、相当なストレスとなります。

 

こっちがどれだけ我慢してると思ってるんだ…!と、心の叫びが聞こえてきそうな、そんな心境💦 これは、けっこうツライです。

 

こういう場合、どうしますか?

 

相性が合わないと思っているのは、あくまでも先生です。生徒さんの方でも思っているとは限りません。

 

ただ、大人、子供に限らずプライドが高い生徒さんだと、上達するためのアドバイスが自分へのダメ出しに感じ、それを受け入れられない心境になる人もいます。

 

「教わろう」という気持ちが欠落している生徒さんはそもそも習い事に向いてないんですよね。

 

自分にとって耳障りのいい言葉ばかりしか受け入れなければ、上達は遠いでしょう。そして、先生から発せられる言葉がいちいち正論で、返す言葉がないとなると

 

「できません」

 

と反発してくるようになったりします。もうこうなっちゃうとレッスンが成立しませんね💦何しにレッスンにきているんだと思わず言いたくなりますが^^;

 

こんなとき、どうしますか?

 

相手に変わってほしいときは、「自分が変わろうとする」ことで感じ方が違ってきます。

 

間違ってもしてはいけないのは、生徒さんと「闘ってはダメ」ということです。

マンツーマンですから、ぶつかりあっては空気が超絶悪くなります。お互い逃げ道がなくなってしまいますし💦

「理詰めで説得しようとしない」ことが大事。

自分のコントロール下に置こうとした言動はいけません。それが正しいことであっても。

 

まず、正しいことを言っている自分をちょっとそっちに置いておく。確かに先生は、正しい。だって上達に導く立場だから。

だから、30分のレッスンの中で少しでも弾けるようにしてあげようとしますよね。

思い切ってそれをやめてみます。そういう生徒さんには、そういう達成感を得るレベルではないのかもしれません。

 

目的を「上達させたい」→「今できることをやってみよう」という風に先生が変えましょう。

 

「ここはすごく良かったから、良かったところを今日は集中的にやってみようか」

というふうに切り替える。そして、お互い納得できそうなポイントを探ります。

そして、ふだんからコミュニケーションをしっかり構築して、お互いの信頼関係を築くにはどうしたらいいかに気持ちをシフトします。

例えば、子供の生徒さんなら、交換日記のようなものをして、生徒さんが普段どんなことを感じたりしているのか、こちらもどんな風にその生徒さんのことを思っているのかやり取りの中で積み重ねていきます。

もしかしたら、生徒さんへの苦手意識で、見逃していたり、聞き逃していた生徒さんの言葉や心があるかもしれません。

その中で歩み寄れれば、関係性も少しずつ改善していくと思います。

「ちゃんとさせよう」とレールに載せようとすると、それを窮屈に感じるのは当然なんですよね。

できなくてイライラする→反発してくる の悪循環。

 

先生は、「できない」という辛さについてはけっこう鈍感なんです。

生徒さんが苦労している部分を楽々クリアしてきての「今」だと思うので。それをわかってあげないと、プライドの高い生徒さんは辛いんだろなぁと思います。

言い方は悪いかもしれないけれど、「レッスンのハードルを下げる」という考えも実はとても大事で、適度な「隙」は、生徒さんにとっていい意味での「逃げ道」を作ってあげることになります。

真面目すぎないように、適度な「ゆるさ」を持ち合わせるという発想も必要だと思います。


でもですね、こういうレッスンは先生にとってはゴールが遠すぎますし、しんどいんですよね。

でも在籍している以上なんとかいい方向に持っていきたいですよね。だから、自分でやれることはすべて試してみる、くらいの根気強さが大事。

もう、相性の問題ではなくなってきます(笑)

そんな努力をしているうちに、生徒さんの方でも気づいて、何らかの結論出すかもしれません。先生の努力が実って改善されていくか、もしくは退会を選ぶか。

もし、結局退会してしまっても、生徒さんのためにできる精一杯のことをやった、と思えるじゃないですか^^

感情的になるのはいつでもできるので、それまでに何ができるか?をやった方が後悔はないはずです。

もちろん、他の生徒さんのように当たり前にレッスンをさせてくれればこんなに楽なことはないのですけどね💧

 

「そもそも理解力がどうしようもないくらいない」

毎週教えても、どうしても覚えられない。

何度説明しても、どうしてもわからない。


また今週も先週と同じ説明してると思うと、やりきれなくなります。先週の自分のレッスンはなんだったのかと。むなしくなります。

でも、この場合は、理解度にはどうしても個人差があります。もしかして学習障害系の側面もある可能性があります。それ以外についての話ですが、


「普通はわかるはずなのに」って思うと、先生は最高に苦しくなります。苛立ちが下手すると顔の表情に出かねません。

「普通は」をもうとっぱらう!だいたい誰かと比べてもナンセンス。意味がないです。今、わからない生徒が目の前にいるんですから。


一度で理解させようとは思わずに、毎週毎週、同じメニューにつきあってあげます。それこそ普段のレッスンと進め方を変えて、その子のペースで進めていきましょう。

そして、他の生徒さんと同じゴールにせず、その生徒さんなりのゴールを設定して、それがクリアできれば次へ進むというふうに、レッスンのテンポも大事だと思います。

本人もすごく苦しいときもあるはずです。そんなときは

「わかるようになるまでつきあうから大丈夫だよ。先生は何回でも教えてあげるからね」

と言ってあげます。そして、いいところがあったらそこを人よりも伸ばしてあげるようにしましょう。

 

 

「心を開いてくれない」

毎週試されるかのように、すんなりとレッスンに入らせてくれない、必ず一度はごねたり、ぐずったり、一回で言うことを聞いてくれない。何を考えているかわからない。

どんなにこちらで心を開いて、大きな心で受け止めようとしているのに、って思うと、泣きたくなったりもします。

小さい生徒さんに多いです。入会したばっかりの頃とか。とってもデリケートな生徒さんだったり、こだわりが強い生徒さんだったり。

「この子は一番何を望んでいるのかな?」と探る。

できることと、できないこと(しないこと)を見極めて、できることからスタートします。

レッスンを始める前に、その生徒さんが好きなキャラクターについてお話したり、絵を描いたりするところから、そのキャラクターがピアノを弾いたらどうなるかなぁ?みたいに、徐々にレッスンの方向へシフトしていきます。

表情が明るくなってきたら、ちょっとずつレッスンメニューをやっていきます。取り組んだ時点でいっぱいほめて、まずその生徒さん自身を認めてあげます。

もしチャレンジする姿勢が見えたら、そこをまたたくさんほめる。そうやって、生徒さんの「ピアノのレッスン」という概念に、「やることリスト」をちょっとずつ増やしていければいいのではないかと思います。


親御さんにもご相談して、おうちでもピアノのレッスンについてお話してもらうなどの連携を大事にします。お子さんは、1週間ですごく心が成長するので、1週間前の変化をよくみてそれもまた褒めてあげましょう。

だから、シールカードなど、いろんな場面でシールを貼ってあげるのはすごく有効ですよ^^


今度は、少し大きい生徒さん。例えば思春期の難しい時期の生徒さんだったら、とにかく自分(先生)の態度や言葉に気をつけます。どこで傷ついて、何に幻滅するかわからないからです。

何げなく言った先生の一言が、心に刺さってしまうかもしれないし、何も話さないからと言って、無遠慮に生徒の心の中にずかずか入っていくのはやめましょう。

何も話さないってずるいなって思うこともあるんですけどね。だからいろいろ言いたくなってしまいますが、がまん。

言いたくなったら、ちゃんと向き合って、相手を尊重する態度でもって先生も本音で話すというスタンスで話し合えるチャンスを見つけてみましょう。


今あげたパターンの他であっても、結局は先生の役割である「生徒を上達させる責任」が果たせない=レッスン以前の生徒さんへの対応でストレスが起こるのだと思います。

生意気な言動をしたり、性格悪いなーという子がいたり(笑)

そういう「想定外」な生徒さんを指導することになったときには、絶対に感情的になってはいけません。

まずはピアノレッスンの前段階、レッスンを受けられる安定した精神状態を作る方向へ努力します。

 

生徒さんのために何ができるか?は常に考えて悩みましょう。

 

悩んで悩み抜いて、「こうしよう」と思ったことを信じてやってみる。自分を信じることから、解決策はみつかりますし、そうまでしたあなたの行動はあとになっても後悔として残りません。

むしろ今後の指導において、必ず役に立つ経験となるはずです。どんな生徒さんでも大丈夫だわ、という自信になったり(笑)

 

ピアノ教室は「継続すること」が重要です。


生徒さんが続々と入ってくるような生徒集客には長けてても、いろんなタイプの生徒さんに対する、様々な対応力にも長けていないと意味がないと思います。


大勢の生徒さんを、あなた1人のアイデンティティーで対応しなければいけません。


「感情のコントロール」ができることは、この仕事を続けていくにあたって、非常に重要なスキルになります。同じ人間は1人としていません。生徒さんも年齢、男女関係なく本当にさまざまなタイプがいます。


ときには、こんなことするのは不本意だとか、こんなことをするために先生になったんじゃない、と思うことも経験するかもしれませんが、

「ほんとは違うけど仕事だからこういう対応をしている」

と、ある意味割り切って、違う自分になることを自分に認めましょう。

それができるようになると、どんな生徒さんがきてもたいてい「大丈夫!」と思える自信がついてくると思います。

あ。私はまだまだ自信はありません(汗)

そういう意味では、私は、どんどん入会してくる教室にはしたくないなぁと思っています。どんな生徒さんでもどんどこい!とはまだ思えないからです^^;


だから、最初の入り口で「自分を気に入ってくれる」「自分と合いそうな」生徒さんを引き寄せるために、チラシや発信のしたにこだわる、とそういう訳なんです^^


ただ、若い先生にありがちですが「なんとかしてみせる!」と意気込んで悩んだり、考え抜くというよりは半ば意地になっている場合もあるので、時にはギブアップする勇気も大事です。(親御さんと相談)

ピアノ教室は義務教育じゃないですからね^^;本人が望んで習いにきているので、その先生のやり方に不満があるなら通っている意味がない、と、習い事の原点に帰って考えましょう。

他の一生懸命頑張ってくる生徒さんもたくさんいらっしゃるわけですから、その子たちのことを思って、前に進んでいいと思います。

 

生徒のSOSに気づこう

こんなタイトルにしてみましたが、これがどうして難しい。

生徒さんのSOSや、本心っていうのは、たいてい後から聞いて愕然としてしまうことが多いですかね(汗

講師というのは、生徒さん側の立場に立った本音、というのを知る機会がほとんどありません。せいぜい、ママ友同士で、別の習い事の話題をしているときに、

 

「あ、こんな風に思われたり言われたりするのか」

 

と想像する程度でしょう。


私は、ほとんどありません。ですが、友人、その他、私の教室には関係ないところで習い事に対する悩みを聞くことがあります。今まで聞いたことがある先生に言えない悩みを数例。


「発表会の曲を先生に選んでもらったけど、なんかうちの子には違う気がするんだけどこういうもんなの?」


って聞かれたことが💦


私は、本人のピアノを聴いたことはありません。が、わりとわかりやすい先生の思惑と親御さんの感覚の「ズレ」ですね。


私はおかしくないと思いましたが、それは先生の思惑がなんとなくこういう理由で選んだんだろうなぁと想像できたからですが、でも譜面を見たわけでもないのでそのへんはなんと答えてあげていいか、悩みました。


特に、生徒さんにはその曲の魅力と、どうしてこの曲なのかっていうことを伝えていれば、友人も納得できたのでは、と思いました。


もうひとつは、


「先生がうちの子を気に入ってないんじゃないか」


というなんともデリケートなお話。上達させることに一心になっているだけで、決してそんなことはないんですがほんの一時、先生と親御さんの思惑がずれちゃったという印象。


これは、下手すると何も理由を言わないまま退会される場合もあります。先生は気づかないまま、突然退会を申し出られて大ショック!という…。


私は、自分の指導をより理解してもらうために親御さんとのコミュニケーションもすごく大事だと思っています。


なぁなぁなおつきあいはいけませんが、お互いよく敬っているからこそ、心の中を打ち明けてもらえる間柄でいたいなと思います。


さて、生徒さんのSOSでわりと気づきやすい言動は、

・いつもよりちょっと元気がない。

・いつもはそんなことないのに、言葉が少し荒れている、かわいくないことを言う。

・いつもはちゃんと練習してくるのに、最近おろそかで、注意力が足らなくなった。

・ピアノは上手なのに、ふざけることが多くなった

など。

生徒さんの家庭で、何かあった場合に多いようです。お母さんと何かで衝突したとか、お母さんがお仕事を始めて寂しくて気持ちが不安定になっているとかの原因があります。

そういうときは、優しく声をかけて愛情をいつも以上にかけて接するようにします。

おうちでの練習がおろそかになった場合は、何かにつけて注意力が散漫になってるので楽器に集中できてないというときだったりします。


おうちでの中でお母さんが毎日慌ただしくて、なかなかゆっくりした時間を持てないんだろうなぁという印象。

こちらはこちらで、その生徒に対するレッスンの立て直しが必要です。だから、生徒さんと生徒さんのお母さんとお話合いをします。

おうちでの練習時間を一緒に考えたり、目標を一緒に考えたり、何のために練習をするのか、という原点をもう一度確認して、それに向かって進めるような練習メニューを一緒に考えて、生徒さんがおうちでやってきたことに対して、私の方からレッスンのコメントを生徒さんに書いてあげたりします。

目標に向かって「先生もそばにいて一緒に」頑張っているという気持ちを持ってもらいます。そしておうちでも「お母さんが見ていてくれる」とい安心感を与えてもらう協力をしてもらいます。

必要であれば、たるんでいるところには、「喝」も入れます(笑

レッスン中にふざけたりするのは、「先生気づいて」のサインかもしれません。

もっと難しい曲を弾きたいのにとか、正当な評価をされていないと感じる時に、気づいて欲しくてふざけて不真面目な態度になったりする場合。

そういうときは、ちゃんと生徒さんにフォローをいれて、希望通りのちょっと難曲をあげたりして、プライドを満たしてあげましょう。


こんなふうに、いつものようにレッスンしつつも、あれっどうしたのかな?っていうところは少し注意して見守るようにしていきましょう。

何も気づかずにレッスンしていて、先生と生徒の息が合わないレッスンはまさに「ズレ」を生んで、効率が悪いレッスンになってしまいます。

「最近どんな音楽聴いてる?」

とか

「これ弾きたいなっていう曲なんかある?」


とか、うまくいっているレッスンでも、ちょくちょくこんなふうに生徒さんの「今」の嗜好を聞いたりすることも有効だと思います。




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