そもそも、ピアノ講師というのは稼げる職業なのか?という部分に言及してみようと思います。
私個人的には、営利活動というよりは、教育に携わる立場に近い存在と解釈しています。
もちろん、大手の音楽教室などから見れば、生徒さんは「お客さん」です。生徒募集をし、音楽を教え、楽器を買ってもらう。
その流れを生み続けることで音楽教室部門は、会社として利益をあげる一端があると思うのです。
ただし、私のような一個人のピアノ講師が、営利主義で稼ぐとしたとき、キャッシュポイントはどこかというと、
『生徒さんからのお月謝のみ』
です。
私は音楽講師だって「稼いじゃいけない」とは思ってはいません。稼ぐことに罪悪感を覚える必要もありません。楽器を習得するには、対価は必要ですし、特殊な技能を生かしているのですから^^
例えば、月収で50万円くらいほしいなぁと思ったら、いくらの月謝で何人教えればいいんだろう?計算してみます。
仮に、月謝を7,000円として、
50(万)÷7,000(月謝)= 71.4…(人)
70人以上教えないとそのくらいの収入は得られません。一週間で5日レッスンするとすると、一日当たり14人を教えることになります。
6,000円台のお月謝設定の先生も多いですから、現実はもっと教えないといけないでしょう。
14人(1日)×30分=1日7時間労働。
1時間休憩をとって8時間拘束。それ以外ずーっとしゃべりっぱなし。
もちろん、レッスン時間以外も仕事はありますよね。教材研究や、セミナーに参加したり、ホームページ更新したり。50万は大きいですが、果たしてそれを「稼げる仕事」だと思えるか。
そもそも、1人で70人を教えること自体が実は現実的ではなく、先生を雇って教室を増やすべきレベルです。
雇った先生に託す生徒さんは自分の教室の生徒さんですが、自分では指導しません。月謝の何割かを雇った先生にお支払いして、あとは自分に入るようになります。そうなれば稼げるようになるでしょう。
自分の教室をそこまで育てようというプランがあるのなら全然オッケーです。会社にしてしまってもいいですよね。
ということは、
・1人で指導したい、と思う人は大きく稼ぐことは困難。
・稼げる人は、2会場以上の教室を増やせる人。
・並々ならぬ強靭な精神とバイタリティが必須。
かなと。
私は全員の生徒さんを「私が」指導したい。他の先生に託すのはそもそも望んでいるスタイルではありません。
これを読んでいる先生方も、お一人でずーっと長く教室運営をしていくというイメージを持っている方が多いと思うので、「1人で1週間に70人指導する」というのは、なかなかハードモードなはずです。
会社にするほど生徒さんが集まればそれは素晴らしいことですが、母体が大きくなれば当然リスクも伴います。
それでなくても少子化ですし。それこそ安定的な収入を得るために常に集客のシステムを強化が重要になってくるでしょう。
閑話休題。
1人の人間をピアノを人に教えられるくらいにまで育つまで、最低15年はかかるそうです。ピアノ教室は「継続しないと意味がない」のです。
私たちは商品を売るわけではありません。生徒を「育てる」のが仕事です。でも、生徒さんが全員15年習い続ける保障もありません。
大事に育てて期待をかけていても、本人の意向であっさり退会することを止める権利もありません。辞めない教室運営を頑張っても、いつかは卒業していきます。
しかも、ピアノレッスンはマンツーマンであること。
これはいろんな職業がある中でなかなかの非効率な働き方です。
そもそも「音楽で食べていく」ということは、歌う人でも、演奏家でも、メジャーで活躍する人でも、みんながみんな音楽で食べていけるほどの収入を得るのは難しい世界です。
音楽というのは、誰でも気軽に始められますが、作品と同様に指導力(を売るという言い方をすれば)で食べていこうと思うと、
「売りにくい」世界だ
ということは知っておくといいと思います。
・「稼ぎたい」なら、いっぱい生徒を集めること
・音楽教室のオーナー(経営者)になって、先生を雇うこと
だと思います。
ピアノ講師は自由業なので、やりようによっては起業できてしまうほど大きな教室に育てることができるでしょう。
いわゆるやり手なオーナー先生となって、常に大勢の生徒さんを抱える大教室までにするような。
そして教室を大きく育てたノウハウを今度は、同業者にセールスするコンサルタントなどへも発展できます。
ピアノの先生は、どうしたって顧客(生徒)を集めるために、地域のリサーチの仕方や、自分の教室の売り込み方がわからない人が多いですよね。
先生自身も一経営者としてビジネスの観点から考えてみることも大事だと思います。
ピアノの先生が「ビジネスを始める」という感覚を持つことは悪いことではないと思うし、実際にそれで成功すればそれが教室の実績となって、生徒募集も難しくなくなるでしょう。
その前に、音楽教室を運営することがビジネスだとしたら何をもって「成功」とするか?
それは個々の先生で考え方が違いますよね。
ビジネスというのは、売り上げ、成長の度合いを数値化して、成功かどうかを判断するしかありません。
ですが、ピアノ教室の場合、数字に現れない部分も重要であって、一概に生徒数で成功を図れない部分があります。
人数を絞ってレッスンしていらっしゃる先生がいて、常に満員で、生徒さんが途切れない教室とかですね^^
教室の名前だけ有名になって生徒数も多く、募集をしなくても入会が常にある教室だけど、でも辞めていく数もそこそこ多い場合もあります。
人数が増えればそうなるのが自然なことです。だから全体的な人数は変わらない。(1年で40人増えた!とうたっていても、3年後に120人にはならないという意味です)
それを理解した上で母数を大きくすることを目指すのが成功と言えるのか?とか。
ピアノ教室を対象にした集客系のコンサルが増えているのは、ピアノの先生が常に抱いている深刻な悩みからだと思います。
「生徒が全然集まらない」
「もっと生徒がほしい」
ここから「生徒がどんどん集まる集客術」的な需要が生まれるんだと思います。
ロジックに考えて行動すれば、どんな方法でもある程度の結果はついてくると思うんですよね。
それには、生徒さんへレッスンする先生(自分)の他に、それこそコンサルタントや、自分以外の経営をまかせられる人がいないと難しいと思っています。
「いや、そこまで増やさなくてもいいの、あと10人くらい増えたらいいなくらい」
こういう方は、このPLMで自力で集客力を身につけていきましょう。
自力でなんでもできるって強いですよ^^人に頼まなくても自由にできますから^^
とはいえ、ある程度はビジネスライクなマインドを持たないと、描いているような形にはならないんじゃないかと思います。
それなりの自己改革と自己投資も必要です。
とはいえ、これからはピアノ教室を運営するのもビジネスライクな発想も必要なのね、と思う前にまず、
自分の教室をどういう教室にしたいのか。
こっちを先に考えましょう。
生徒が増えなくてどうしよう、と思うときこそ、それをチャンスと思って自分の中を変える努力をする。
そのあとに、いろんな選択肢から選べばいいんです。これがないとどんなにプロのアドバイスを受けても、途中でリタイアするでしょう。
音楽教室の運営は、「教育」とか「ビジネス」とかはっきりカテゴライズできないグレーな部分=デリケートな部分をたくさんはらんでいる仕事だと思います。
そもそも、音楽をする人にはデリケートな方が多い。
ビジネスとして考えるか、そうとは言い切れないというスタンスでいくか、それも先生それぞれの考え方で「どういう教室にしたいのか」を考えていきましょう^^
ここまで読んでいただき感謝しています!さて、いよいよ次から実践編に入っていきます!

