どんなにターゲットを絞って、「理想の生徒さん」を自分の教室に呼び込めたとしても、100%理想の生徒さんになるかというとそうとは限りません。
よっぽどの方(こう言うしかない笑)をふるいにかけただけにすぎないと思うんですね。
規約を考えるときにも頭におくべきことなのですが、最初の入り口でしっかり「規約の同意」をもらい、それをしっかり実行しているということを運営において示していくことの方が大事です。
レッスン規約での最重要項目は
- レッスン内容、カリキュラム、運営、スケジュールに関して講師に一任していただく
- レッスン曜日、時間を守る
- 月謝の納入日を守る
- レッスン不能な事案が発生した場合は、その後のレッスンは受けられない
というのが、あなたの教室のレッスン規約の骨子だとします。
教室の主宰の先生が運営の全責任があり、守るルールがあって、ルールを守れなければ退会しなければならない
という、筋道が見えますよね。この中で生徒さんにお願いする文言としては、
これから楽しくレッスンを受けていただくために、講師、生徒さん、親御さんが協力しあえるレッスンの環境づくりにご協力をお願いする
という先生の考え、方針を入会していただく時点でしっかり同意をいただくことが大切です。
特に①と④は、あとから対処するのは難しいんです。
人は慣れてくると、相手にどうしても甘えたり、ちょっとお願いしてみようかな、という空気になりがちです。
スイミングスクールや、英会話などの大きな母体の教室よりも、個人レッスンで、しかも個人教室の方が融通をきかせてもらいやすいかも、と甘く見られてしまうんです。
ピアノ教室は特にですね^^;振替レッスンをしてほしいとか、同じ曜日なんだけど今日だけ時間をずらしてほしいとか…。
または、マンツーマンレッスンだから、お子さんも傍若無人な振る舞いをされがちでもあります💦
親御さんが見ていたとしても、注意をしない親御さんとかもいらっしゃる場合もあるようですし^^;
それを回避するには、
問題が発生した時点で親御さんに報告して、問題解決のために親御さんにご協力していただくというスタイルを先生があらかじめ持っておく
ことです。長いこと我慢したり、困ったなぁという状態を放置していていいことがありません💧
勇気がいることなんですが、良い関係を保つために問題解決をするときには、これが一番大事です。
そして、問題解決しようと思ったときに、感情的に接しては絶対にダメです。
怒りで我慢の限界だったり、悲しくてモチベーションが下がっていようとも、一晩気持ちを落ち着かせて、
「終始穏やかな口調を心がけて、謝るところは謝って、ご相談の体で話をして、でも結論は変えない」
ということです。これが何より大事です。
お行儀が強烈に悪い子がいたとして、何回注意しても改善されない、ピアノを乱暴に扱ったり、椅子に立ち上がって落ち着きがないなどの行動をする生徒さんがいたとします。
小さいからしょうがない、と思って先生は、手を替え品を替えレッスンに集中してもらうような工夫をしますよね。それでも改善されない場合、たいていは親御さんがしつけをしていない場合が多いんですよね。
小さいからしょうがないと放置している、その姿勢でおけいこに通うという意識の低さもあるでしょう。
これはもう先生のせいではないんです。
ピアノを習うということは、マンツーマンのレッスンが成立している状態、生徒さんもいくら小さくても30分レッスンを受けられる状態であることが大前提です。
それができなければ、今後のレッスンは難しいとはっきり言います。
今後のレッスンのご相談という体で、そこそのご相談をおうちの方へ一旦渡して考えもらう。そこで普通の親御さんなら対策を学ぶと思うんですよね。ふつうは。
それでもクレームつけてきたり、しょうがないと改善するつもりがないのであれば、それはうちの方針とは合わないのでよその教室に行ってください、という結論になります。
”私も指導したいのは山々なんですが、上手に集中させられなくてすみません。私にはちょっと難しいです”
と正直に言うことです。先生ができないというところを無理やり教えてくれとは「ふつうは」ならないはずです^^;
この場合の先生の結論は、生徒さんがどう言おうと改善が見込めない限り、
「レッスン不能の事案が起こったので、これ以降のレッスンはできない」ということです。
この結論なしに、お話ししてもなし崩しになって、先生が疲弊するだけですので💧
ただ、ほんとうに「穏やかに、相手の気持ちに寄り添うような話し方をしながら、こちらの主張をしていく」と体が大事です(笑)
相手が話すことに
「そうですよね」
「わかります」
「おっしゃる通りだと思います」
「私もそう思っています」
という同意の言葉を上手に使います。
生徒さんのこういうところはとってもいいという褒めるポイントもお話しながら。そうすると受け入れてもらいやすいです。
会話の中で協力していだける意思を持っていただけたと感じたら、それは先生の判断でレッスンを引き受けるのは自由です。
正論だとしても、角が立つ言い方とか、先生の威厳を言い放つような言い方だとこじれますので、物腰低く、でも毅然とした気持ちで、誠心誠意対応するという姿勢がすごく大事です。
こういうこと書いていると胃が痛くなる気がしますね(笑)
これまでもいくつか私の経験談を書いてきましたが、良いことばかりではなく、大変苦しんだことも書いていくスタイルでお送りしています(笑)
ピアノ教室運営は、個人の先生が1人でやっていく以上、どんなに安全策を張り巡らせても問題というのは起こります。
ですから、私も耳に心地よい、成功体験や夢物語ばかりは書きません。自分の未熟さも晒しながら書いていきますので💧どなたかのお役に立てれば嬉しいです。
昔、他の生徒さんにやっていないようなレッスンを特別にどうしても見て欲しいと言われた生徒さんがいました。私は何度も固くお断りしましたが、どうしても譲ってもらえません。
どうしても引かないので、謝礼を上乗せして受けることにしましたが、やっぱり一度受けてしまったので、ゴリ押しが続きました。
本当に苦痛でしかたなく引き受けてしまった後悔と、お金をもらえばいいっていうものでもないな、と心底思いまして、その後規約に①レッスン内容、カリキュラム、運営、スケジュールに関して講師に一任していただく
の文言を加えました。
いくら重要があるからといって、乗り気じゃないことをやることの苦痛を初めて経験しました。
先生によっては、「なるほど、こんなレッスン方法もあるのか。よし、レッスンコースを新たに作ろう」と生徒さんの要望から需要を見出せれば、それはひとつの教室のアピールポイントになると思います。
④レッスン不能な事案が発生した場合は、その後のレッスンは受けられない
という事案も経験があります。反抗期をこじらせたというか、もともと距離感がない生徒さんだったんですが、詳細は省きますが、ついに私はその生徒さんのレッスンの日になると、胃が痛くなったり、気持ちが悪くなったり、体調を崩すようになってしまいました。
もう限界だ、と思ったところで、親御さんにお電話してご相談しました。
結果、それでやめていただくことになりました。
「お子さんをうまくレッスンの軌道に戻せなくて情けないです。私の力不足でした。本当に申し訳ありません」
と陳謝しましたが、親御さんは、
「それは先生が悪いんじゃないです。やってはいけないことをうちの子はやってしまった。こちらこそ申し訳ありませんでした。あんまり気になさらないでください」
と言ってくださいました。
その生徒さんのきょうだいも習っていたので、その子も失うかもしれない、その覚悟でお話しました。
で、このエピソードで注目したいのは、新規入会の生徒さんでもなんでもなく、長年通ってきてくださった生徒さんだったということ。
「小さい頃から見ていただいて、先生(私)を家族のように思っていた節もあって、家ではそんなことがあったことなんて話しませんでしたし、先生が重くとらえているほど、本人は思っていない節がある。
確かに、別の塾の先生にも慣れると距離が近くなりすぎて注意されることもある。先生(私)のお話を聞いて、とんでもないことを言ったりしていたことがわかりました。本当に申し訳ございません。本人にちゃんとこれまでの「振り返り」をさせてしっかり指導していきます」
ということでした。私のことをもはや家族みたいに思って、何を言っても許してくれるという甘えがあったんでしょうね。
たいてい、1週間で私も気持ちを切り替えられるのですが、さすがの私もサンドバッグにされているような何の生産性もないレッスンの連続で、病んでいく手前の精神状態でした(笑)
で、その生徒さんのきょうだいはどうなったかというと、一緒にやめるということなく、レッスンに通ってきてくれています。本当にその生徒さんのお母さんには感謝しています。
長いお付き合いでしたから、なかなか言い出しにくくて問題行動から半年以上かかってしまいました。
やっぱりこれまでその生徒さんに対しても精一杯私ができることをやってきたのと、それをお母さんにもご理解いただいていたので、そのおかげで今でも変わらず良好な関係を続けています。
このエピソードが何かの参考になれば幸いです。
確かに、レッスン規約を作って配布するようになってから、レッスンや生徒さんとのコミュニケーション等の悩み、困りごとは激減しました。これは間違いありません。
今ほぼ、教室運営において特別な悩みがなく、のほほんと楽しく毎日レッスンをしています。だからこそ思うのは、以前よりも自分の中の危険察知信号が敏感になりました。
だから対処が早くなりました。
なるべく平穏なレッスンライフを維持したいですし(笑)
例えばレッスンに集中できてないな、レッスンを受ける体制がまだ理解できてないな、このままだとまずいかもしれない、と思ったらそのために次の週までレッスンプランをめちゃくちゃ練っていきます。
それを1ヶ月ほど繰り返すと、お母さんの反応が変わってきます。
お子さんの意識がちゃんとおけいこに向いてきたのがわかるからでしょうね^^
まだ入ったばっかりだし、とか、小さいししょうがない、と思うのは、しつけや指導をある意味放棄しているのと同じだと思います。
こちらはお月謝をいただいているので、レッスンに集中してもらえる工夫をその生徒さんに合わせてしなければならない使命もあります。
こんなふうに、どんなに理想の生徒さんとマッチングを図ろうと、入会してみてレッスンを開始してみないとわからないことがとても多いです。
さきほどのエピソードのように生徒さんの成長過程で問題が起こることもあります。
入会までの仕組みづくりさえあれば、理想の生徒さんが入ってくるというのは、「よっぽど」の方の入会を避けるため、くらいに思っておいた方がいいと思います。
それよりも、お母さん方へ習い事の心構えとか、レッスンをサポートしてもらうような「協力をお願いする」という発信が重要だと思います。
コミュニケーションが本当に大事です。


