ここからは、SNSなどでもなかなかつぶやけない、先生の運営やレッスンにおける苦悩について考えてみます。
生徒の増減で悩むとき
音楽教室というのは、生徒の出入りが非常に流動的です。
どんなに生徒が集まっても、いつかは退会していきます。その時期がそれぞれ違うだけ。
教えられる人数を、教室を始める段階でだいたい設定したと思いますが実際は、自分ではコントロールできるものではありません。
急に増えたり、減ったりすることも長い講師生活ではあることです。その中で、ふと壁に突き当たったりすることもあります。
生徒が増えたとき
これはまぁ喜ばしいことですね(笑
レッスンのための教材研究の資料を買うのにもお財布が傷まなくなりますし。
人数が増えると、それだけ「私に教えてもらいたい人が多いんだ」と感じ、自信がつきます。
自信にもなるし、ある程度プライドも高くなります。
それと同時に、物理的に自由な時間がなくなるために、余裕がなくなってきます。
時間の流れが非常に早くなって、その早さににも慣れるのですが、いちいち生徒一人一人の細かいところまでかまっていられなくなり、介入するのはここまで、と線を引くことも必要になってきます。
生徒さんが何十人いても、自分は1人しかいない。体もだし、心もです。
ある程度「割り切る」という感情は必要でしょう。
昔はくよくよ悩んでいたことも、人数が多いと「これはこうしよう」と適切な判断が早くできるようになります。
傲慢に聞こえるかもしれませんが、ある生徒さんのわがままともとれる要望があったとして、それに応えられるかどうかを考えたとき、「できない」、という判断をする時に同時に起こる感情は、
「未だにこんなことで悩ませられる…なんなの、この仕事」
と情けなく感じる一方で、
「今のままで不満ならよそに行っていただいてけっこう」
という感情も生まれます。
これは、決して高飛車に考えているわけじゃなくて、これまで必死に心を尽くしてるからこその自負なんです。裏を返せば、
「ここまでしてくれる教室はありませんよ。よその教室行ってみればわかるよ」
という意味なんです。
それだけ好意でいろいろ対応してる教室だと思うんだけどそれ以上求められたら、無理。ごめんなさい。って感じというんでしょうか^^;
生徒が増えたら増えたで、何十人に1人の割合で、ちょっと困った生徒さんが出てきます。確率の問題なので、どうしても出会ってしまうと思います。
そこで、強靭な精神力でもって乗り越えられるかどうか、で大勢の生徒さんを抱える大きなピアノ教室にできるか否かが決まると言ってもいいでしょう。
良くも悪くも大所帯のピアノ教室の先生メンタルになるといいますか。
生徒さんが増えて生活がめまぐるしくなり、楽器店からの扱いも変わり(笑)一見、幸せな講師像ですが、何十人いても流動的な性質の仕事は同じです。
生徒が減る不安が少し遠のいた、という程度です。
何十人集まっても、心から安心、とは言えないでしょう。身一つしかないと思うと、どこまでやれるのかな、ときどきぞっとします(汗
初心を忘れないで、時々立ち止まって自分を客観的に見る時間が必要かなと思います。
生徒が減ったとき
これは精神的にも、金銭的にもかなりダメージを受けます。わかっていてもですね。
ネガティブな方ばかりに気持ちが行ってしまって、新たに生徒募集するエネルギーすらなくなってしまいます。
まず、辞めた生徒のことで気持ちに踏ん切りがつかないと、先生も前に進めません。
自分が至らなかった、どうして、もっといいやり方があったのかも、と自問自答をぐるぐる繰り返していたら疲れてしまいます。
生徒が減ったという理由には、この不景気なご時世のせいでもあるし、子供が少ないせいもあるし、たまたま年齢的に退会するタイミングが重なってしまったせいもあるでしょう。
将来有望だな、と可愛がってきた生徒さんが能力ああるにも関わらず、ピアノに見切りをつけてしまう場合もかなーりダメージが大きいです。
はぁ…。やっとここまで成長したのに、やめちゃうんだ…と空虚になります。気持ちを切り替えるまで少々時間がほしい感じですよね^^;
というように、なんとなくそろそろ辞めるのかなーと覚悟をしていても、違うところから退会の連絡をもらったりするとこれまたショックも大きくて(笑)
生徒さんが減ってしまって気落ちしている状態で何してもうまく回りませんからここからどうしたいか?ともう一度考えてみましょう。
慌てて生徒募集をしようとしなくてもかまいません。
自分の気持ちがもう切り替わっているならどんどん動きましょう。
そうでないなら、元気を取り戻して、また頑張ろうと思えるまで時間をたっぷりかけてもいいと思います。
生徒が少なくなったということは、それだけ自分の時間が増えたっていうことだからいいことじゃん。
このくらいの気持ちも大事です(笑
いささか精神論になりますが、生徒さんが辞めるときは、また新しい出会いがあるというチャンスです。
または、少し立ち止まって体と心を休め、自分を見つめ直してみようという時間かもしれません。
音楽を教えるって、エネルギーをすごく使うじゃないですか。教える方のコンディションがよくないと、質のいいレッスンは提供できません。
ましてや、生活がかかって今にも生徒がほしい、と切実な状態で新しい生徒さんに、新しい世界や希望を持てるように導いていけるでしょうか?
「今いる生徒さん」に目を向けるべきです。
あなたを信頼している生徒さんやお母さんたちを思い出してください。これがだいぶ効果ありますよ!
そして、いつ生徒さんが辞めるといわれても先生が後悔しないように、今いる生徒さんに精一杯尽くす。そうすると、すこしは踏ん切りがつきます。
「marble先生だったから、ここまで続けて来れたのは間違いありません。本当に感謝しています」
という生徒さんのお母さんからのお手紙をいただいたことがあります。
ふだんは静かなお母さんでしたが、すごく熱い思いが伝わってきて、「そうか、そう思ってもらえるならこんなに嬉しい言葉はないな」と思いましたし、この言葉でここまで頑張ってきてよかったな、と自分を労ることもできました。
私たちはこの仕事で生活をしているわけですが、自分の理想の教室を作るために時間もエネルギーもかけてきたはずです。
だからこそ、生徒募集はじっくり丁寧に時間をかけて、慌ててするものではありません。
生徒が減った時こそ、立ち止まって教室の将来について考え直すときです。
生徒を増やしたいなら、教える対象、指導の方向性を見直し、練り直し改めて生徒募集をかける、というしっかりとしたプランを持って行動したほうがいいと思います。
立ち止まったとき、このコンテンツを最初から読み直してみてください。
その間の生活費は、別な仕事をして補うくらいの覚悟も必要かと思います。そういうリスクも考えて、地道にそのときのために貯金は必要ですね^^;


