月謝の設定①

レッスンの価値を考える

ではいよいよ月謝の設定をしてきますが、収入に直結している部分なので、もしこういうメンタルをお持ちの方はちょっと頭の隅っこに追いやってください(笑)

月謝を高く設定すると、自分はとてもこんなにいただくようなレッスンする自信がない


こんなふうに思うと、ついつい安めな金額にしてしまいがちです。これ、ほんとにあるある。

私のような音大出身ではない人が陥りがちなメンタル💦でも、これを解決するのは簡単。

レッスンの質を上げる努力を惜しまない


レッスンの自信のなさを解消するには、これしかありません。

月謝を安くする方が簡単かもしれないけど、それは最大限努力してからでも遅くない。

長く運営していくわけですから、教材研究、セミナーなどたくさん勉強して「自分のレッスンの強み」となる部分を増やしていきましょう٩(ˊᗜˋ*)و!

そもそもピアノレッスンというのは、マンツーマンというその時間だけは生徒さんがひとりで先生を独占できるスタイルというのは、すごく贅沢なことなんです。

そんなレッスンって意外と少ないし、あっても高額なんです。

 

参考 先生を独り占めできる贅沢さピアノ教室開業・運営講座

例えば他のスクールで考えると、スイミング、英語、習字、ダンスなどなど、個人レッスンとなると単価がぐぐっと上がっているはずです。

スポーツクラブで言うと、パーソナルトレーナーはすごく高額ですよね。

個人レッスンは、一定の時間を1人にしか使うことができないので、教える側にとって、ある意味では非効率といえます。

だから、巷のスクールの個人レッスンはその価値を知っているので高額になっているんです。

ピアノのレッスンはそもそも贅沢な習い事なんですよね。だけど、ピアノのレッスンだけは単価が安いなと感じませんか?

先生自身もそのことを知って、1レッスンにあてる指導内容のクオリティを上げることが一番、レッスンの価値を上げることにつながります

 

もうひとつ、

もうちょっと上げたいところだけど、とりあえずこの金額でスタートして、必要な時に上げよう

とよく考えるのをやめちゃった人、ちょっとストップ(笑)

これは問題を先延ばしにしているだけでいつかは考えなくてはいけないこと。

 

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そもそも途中から月謝を上げるのは、想像以上に大変です。


習う側から考えた場合、高いよりも安い月謝の方がいいに決まっていますよね。

ですが、あまりにも安いと「誰でも」入会してしまいます。誰でも入会するということは、なかなかのリスクを抱えることになります。

一定数発生する先生を困らせる生徒さんを受け入れる可能性が高いです

それでも、とにかく人数を集められればいい、安いのがうちの売りだと確固たるポリシーがあるのならいいんですが、月謝の安さで生徒数を激増させると、いずれ壁にぶつかるのは容易に想像できます。

やはり習う側からすれば、これだけ払わなければならない、という習う側の覚悟も月謝の額によって違います。

相応の額ならば、子どものレッスンについて一生懸命協力してくださいます。先生の方も当然、無責任な気持ちでレッスンなどできません。

近くの相場よりも安い、という「だけ」で通っていらっしゃるのならそれだけの理由でしかないんです。

教室のレッスンの質まで見ていただけるかというとちょっと疑問ですね^^;

考えるべき時に考えず、あなたの「これは私の良心、生徒さんの負担を軽くするため」ともっともらしい大義名分で安く設定してしまうと、後から報われない思いをしたり、単なるエゴになってしまうときもあるので注意。

 

ピアノ講師ならではの金銭感覚の弊害

見栄というか、なんというか、ピアノの先生はお金にシビアになっちゃいけないみたいなところがあるように思います。

「いいのいいの、生徒さんが喜んでくれるから」

 

と、サービスでレッスンをしちゃう。

 

「家庭のご事情があるだろうし、月謝が遅れてもしょうがないわよ」

 

と、余裕ぶってしまう。さらに数ヶ月の未納さえしかたないと許容してしまう。

 

「文化教育の使命もあるし、月謝を値上げなんてできない」

 

と、何年も値上げできずにいたり。


私たちの仕事は、ピアノを教えることで対価をいただいています。

文化的教育の使命は同意ですが、それと安い月謝は別の話です。こういうきれいごとのようなマインドって、実は生徒さん全員にはできませんから、結果的に不公平な運営になるんです。


どなたにも納得していただく、という前提で月謝の設定を決める。そこに念頭を置きましょう^^


私の経験則で恐縮ですが、こんな経験があります。みなさんは、どう考えますか?

もうずーっと昔の話です。体験レッスンいらしたお子さんがいました。とても気に入ってくれて、来週からさっそくレッスン開始します!の雰囲気で、お母さんも気に入っていただけた感触もありましたが、恐る恐る聞いてこられました。

 

「あの、ピアノの月謝ってこんなに高いものなんですか…」

 

と。

 

聞けば、以前住んでいた近所で習っていた先生は、ワンコイン(500円)で教えていたそうです。耳を疑うとはこのこと。…そりゃあうちさえも高いと感じるわ( ꒪⌓꒪)

 

さらに、そこまでお支払いできない、できればもっとお安くなりませんか的な、まぁディスカウントを要求されたんです。

 

「申し訳ないのですが、他の生徒さんも同じお月謝で納得して通ってらっしゃるので、不公平なことはできないんですよ」と言いました。

 

ワンコインのレッスンに慣れてしまって、何千円も必要という考えはなかったようで、世間の相場と自分の認識の乖離がしすぎて気持ちがついていかなかった様子でかえって気の毒でした。

 

その生徒さんは、世間の相場のお月謝を受け入れない限り、どこのピアノ教室でも受け入れてもらえないでしょう。

 

 

ピアノを習うことを諦めてしまうかもしれないな…。不幸なことだな、と思いました。

 

できれば教えたいと思うようないい子だったのに、月謝の点で納得してもらえなければ私にはどうすることもできないし、と、なんだか後でいろいろ考え込んでしまいました…。

Twitterで同じような方に遭遇した先生のツイートにリプしたんですが、私のリプにも「いいね!」がたくさんつきまして。

こういう不幸な生徒さんを作ってしまうのは、ワンコインで指導する「ピアノ講師」の存在があるからです。

こういう破格の月謝設定、やめてほしいなと心底思います。

 

ある先生の場合。こういう風におっしゃっていた先生がいました。

「別に生活のためにやっているわけではないから…」と。

 

これは、ある発表会でお手伝いを頼まれてその発表会の決算の額を聞いて、驚いた私の反応を見ての言葉でした。

 

生徒さんからいただく発表会の参加費の合計と、発表会にかかった経費が万単位での赤字とのこと。

 

私はその当時、まだまだ新米の講師でしたが、「えええええ!!!?」と声を上げてしまいました(笑)

 

「生徒に喜んでもらいたいから」とおっしゃっていましたがその赤字の分、どこから補填したんだろう?もしかして家計?またはご主人のお給料からじゃないでしょうか。

 

生活のためにやっていないのに、お手伝い(私)まで雇っている意味っていったい…。


お金は取らないで、自分の趣味の範囲でやっていたいし、生活のためにやってるんじゃないし…とお考えであれば、いっそのことボランティアで無料で教えれば?…とか思っちゃいました(ー”ー)

私たちは、自分と同じ仕事をしている大勢の先生の存在も考えておかないといけません。

習う側の理想は「安くて」「いい先生」なんでしょうけれど、安すぎるとピアノの先生として自立はできません。

自立しなくてもいい人でも、同じ職業の先生のことも考えて、適性価格の設定をするべきだと思います。

 

ピアノ講師をとりまく必要経費とは

それでは、この仕事での音楽活動というものの経費を考えてみましょう。

ピアノ講師として活動していくための必要経費

・セミナー、コンサートのチケット等。最低2,000円〜

・教材用の楽譜も一冊700円〜1,500円くらい。

・ベートーヴェンのソナタを弾くなら原典版で6,000円くらい。

・シリーズもののセミナーなら数万円以上。

・その他講師のためのサークル等の年会費10,000円〜

・先生についてレッスンに通うなら1レッスン5,000円〜

・楽器の買い替え



その費用はどこから捻出するかというとあなたがレッスンで得たお月謝からのみです。

こんなふうに、自分の仕事の経費としてかかる資料、教材費などの物価を考えた場合、月謝が安すぎると、これらの経費ひとつひとつが高額に感じてきませんか?💦

収支のバランスが崩れてまくってしまいます。

ピアノの先生の生活を取り巻く音楽活動、楽器等に伴う費用がこのくらいかかるなら、それを教える仕事として考えた上で、お月謝の設定を考える視点というのを持っていたいですよね。

こんなことも考慮に入れながら、じっくり考えて決めましょう。

そして、これから値上げを考えている方も、値上げの根拠がこんなにあるのですから、発信するときに「理由づけ」ができますよね^^

 

その他の費用も念頭に置いて

個人事業主ですから、社会保険等も自分で支払わなくてはいけません。

その費用だって生徒さんからいただく月謝からの出費になりますよね。

・国民年金

・国民健康保険

・各種保険(生命保険、医療保険、介護保険などなど)

・個人年金(つみたてNISA、iDeCoなど)

・仕事に車を使うなら車両保険

・各種税金


年収130万円以上の方(結婚されている方はご主人の扶養から外れます)はこういった費用も自分で支払わなくてはいけません。

これらをトータルすると月収の何割にあたるでしょうか?

こういった公的な費用も考えて、自分の得るべき収入を考える必要があります。

 

改めて「自分のレッスンの価値を高める意識」という気持ちが大切なのがわかりますよね

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とはいえ。

競合地域の中で、自分の教室だけ高かったらやっぱ不利ではあります。市場の適正価格というがありますからね(汗)

生徒さんを多く集めたかったら適正価格に寄せる。

いや、自分のレッスン単価はもっと高いという先生は、人数は望めないかもしれませんが、意識が高い生徒さんが入られますから、そちらを優先できます。

まずは、近所のピアノ教室の相場を調べてみましょう。お住まいのエリアにホームページがあるピアノ教室のお月謝を参考にしてみるのもいいです。


そこから、だいたい最低価格と上限を割り出しておきます。

では、次のコンテンツでは、実際に月謝の額をどうやって決めるか?をやっていきます!

 

 

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