今まで特に何もせずともなんとなく教室運営をできてきた方もいらっしゃると思います。
または、子育てが少し落ち着いて教室運営に力を入れられる環境になった方、今の時代に合った教室運営をしたいけどどうしたらいいのかわからない方など。
「このままではいけない」
「もう少し教室運営に本腰を入れてみよう」
「困った生徒さんの対処ができない」
「月謝をもう少し上げたいけどやり方がわからない」
こういう時は、「教室リニューアル」をして一気に解決しませんか?
教室リニューアルまでのステップを簡単に書いていきますね。
- 問題点をピックアップする(現状分析)→解決法を考える
- 「教室のベースを作る」を一通りやる
- レッスン方法の改善、レッスンコースの新設
- リニューアルのために必要な準備を書き出し、実践
- 新しいレッスン方法などを試すなど実績を作る
- 生徒さんへ発信
これまで読んできたコンテンツをまずじっくりやることで、生徒さんへ発信する材料が整いますね^^
特に、レッスン回数を減らしたり、月謝を上げるような部分も盛り込みたい場合は、現状分析をしっかりした上での準備が大事です。
1つずつ解説していきます。
① 問題点をピックアップ(現状分析)→ 解決法を考える
レッスン回数を減らしたい、困った生徒さんのケースをまとめたり、自分のレッスン法が生徒さんの上達につながっているかなど、広い範囲に渡って書き出していきましょう。
そして、解決法を書き出してみます。
| 問題点・改善点 | 解決策 |
| レッスン回数を減らしたい | レッスン法やレッスンメニューを増やし、一回のレッスンの内容を濃くすることで減らす |
| 生徒さんが上達しない | 教材研究、レッスン方法の見直しをして、どんどん取り入れてレッスンしてみる |
| 月謝を上げたい | ・レッスン室がグランドピアノであることで生徒さんにとって良いレッスン環境になった ・これまでは子育て中で、迷惑をかけるかも知れないという部分で、良心的な月謝設定にしていたが、子育ても一段落して新しく教室をやっていく |
| 困った生徒さんへの対応 | 自分1人で運営しているため、双方のご協力が必要。そのために規約を作って生徒さんも講師も安心して音楽を学ぶ場として作っていきたい |
こんなふうにまとめてみて、ここの解決方法が生徒さんへ発信するときの訴求ポイントとなるので、具体的に書いておきましょう。
② 「教室のベースを作る」を一通りやってみる
①の解決方法をしっかり裏付け、生徒さんへの説得力が増します。先生が子供たちのために真剣に指導しようとする姿勢、ピアノ教室を大事に思っている気持ち、など「共感」をもらえる部分です。
しっかりやることで、先生自身もこれからやるべき道筋が見えるはずです。
③ レッスン方法の改善、レッスンコースの新設
なんとなくずーっと同じ指導方法でやってきたけれど、このテキストを使用している意味や、その効果を再確認してみます。
「なぜ」このテキストを使い、「どんな効果」が出せるかを再確認すると、「実績」を出すことにつながっていきます。
いろんな指導方法に溢れる現代ですので、リニューアルを謳う以上、何かレッスンに新しい風をもたらせるといいなと思います。
レッスンコースも同様で、②をやった結果、教えられることがあったと気づくこともあります。
今まですでにやっていたとしても、レッスンコースに明記していなかった場合は、ぜひ明記して正式に新しいコースを始めることを発信できるので検討する。
④ リニューアルのための必要な準備を書き出し、実践
いろんな分野についての準備がそれぞれ違うので、どんな準備をするべきか書き出しておくと便利です。
| レッスンコース新設 | 使用テキストを決める、または自分で作る、カリキュラムを考える |
| 月謝を上げたい | 月謝を決めるをやる |
| レッスン回数を減らしたい | カレンダーの各曜日の平日を数えて、何回が妥当か考える (こちらのコンテンツを参考に) |
| どんな方法で生徒さんに伝えるか考える | お便り、メール、ホームページ そのために原稿を書く |
⑤ 新しいレッスン方法などを試し、実績を作る
④を書き出しつつ、リニューアルにあたっての「実績」を作るのも同時にやっていきましょう。
月謝を上げたり、レッスンコースを作ったりする場合は必要な部分だと思います。
例えばソルフェージュや、スケール強化のレッスンを、いつものレッスンに取り入れてみることをしばらく続けて生徒さんの上達、よくなった点などの実績を積みます。
この期間は先生にとってはモニター期間ではありますが、実績があれば生徒さんへのメリットが増えるので、説得材料の1つになります。
⑥ 生徒さんへ発信
④で書いた原稿を、自分で決めた媒体に掲載し発信します。
一番いいのは、書面がいいですね。何度も原稿を推敲してください。
- わかりにくい文章になっていないか
- 長々と言い訳じみた文章になっていないか
- ポジティブな文章になっているか
よく気をつけて書いてみてください。
何ヶ月も悶々としていて、準備はできたけど、いざ発信する、となるといつがいいのか悩みますよね。
私は基本的にはいつでもいいかとは思うのですが、新学期のタイミング、発表会が終わったタイミングは避けたいかな、と思います(笑)
見出しで「え!?」と思われたかもしれませんが(笑)
教室をリニューアルしようというとき、特に月謝の金額をあげるような場合は本当に勇気がいりますよね。
だけど、月謝を上げないとやっていけない、と強く思ったからこそ実行しようと思ったわけで。
そうすると
「今までの生徒さんがやめてしまわないかな?」
と心配になります。
ですが、ここまで教室リニューアルが必要と感じたのは、先生が思い抱く教室とちょっとかけ離れていると感じている、という部分もあるからだと思うんですね。
強い気持ちがあったから「やろう」と思ったはずです。
辛いですけど、「たとえ、退会する生徒さんがいてもしょうがない」とある意味腹を括らないとできないことだと肝に銘じましょう。
「それでもいいです」と言ってくれる生徒さんに教えた方が幸せです。
だって、先生の私利私欲のために教室リニューアルするんじゃないんですから。
双方が気持ちよくレッスンできるための生命線を先生が握っているんです。
妥協したら、先生が我慢するしかないので、それでもかまわないなら教室リニューアルは諦めた方がいいです。
とてもデリケートな問題なのでたくさん時間をかけて答えを見つけてください。
私の経験談を書きますね。
以前も書きましたように、私の場合、楽器店の営業さんに勝手に月謝の額を決められ、私に断りなく生徒さんに伝えてしまったせいで、すごく安い月謝からのスタートになってしまいました。
それでも、音大を出ていないし、指導経験もないしな、と自分を納得させていたんですよね。
でも、生徒さんが増えていくにつれ、別の問題も発生してきまして…。
レッスンのスケジュールを、生徒さんが好き勝手に私のスケジュールを切ってこようとするし、振替レッスンは当たり前のような感じに受け止められていました。
まぁ、レッスン規約はおろか、そもそも教室の基礎となるものを作っていなかったので私のせいなのですが💧
当時、私は振替レッスンに関しては、「病気とかどうしても休まなくてはいけない事情があるから休む」のだと思ってましたから、そういう場合に振替をしようと思っていたんです。
ところが、学校の野外活動でいないから休むときも、家族旅行のために休むときも、なんなら「夏休みの◯日、実家に帰るので、先生も夏休みを取られると思うので同じ日に合わせていただければ…」的なことまで言い出す方もいたり、はたまたよく理由も言わずに、日曜日に変えてもらえないかなど、
「え?それも私が振り替えないといけないの?」
っていうパターンが多くなってきたんです。
そもそも「レッスンを休む」の定義が、私の中の常識ととんでもなく違っていたということに驚き💦そんな想定はまず持ってなかったんですよね。
ただでさえ年48回やってたので、私のプライベートな時間がバシバシ削られていくことにさすがに疑問を感じ始めました(笑)
しかも、月謝も安いし💧さすがの私もこのときばかりは腐りかけました。
このように、「何にも決めていない教室」は、統制が絶対にとれなくなります。どんないいお母さんたちでも。
私が正しい判断ができなくなるのと同じように、お母さん達も何が失礼か見えなくなっていくんです。
いよいよもって「現状を変えねば」と決意しました。
まず、1度目。
レベルごとに月謝が段階的に上がる、というというシステムを導入することで、一斉値上げの印象を薄くし、年間スケジュールを42回にする、さらに振替レッスン廃止というものすごい改訂(笑)をしたんです。
ヤマハの教室が当時、年間39回のレッスンだったこともあって、48回はかなり多いレッスン回数で提供していたことと、当時ハッピーマンデーも導入されたばかりだったので、それにも乗っかりました(笑)
42回でもヤマハさんよりも3回も多いし、改定後のお月謝でもヤマハさんや相場よりもずっと良心的である=今までが激安だった、というという推しポイントで行きました(笑)
とてつもない勇気が必要でした。でも何度も何度も考え、神経性胃炎にもなりました。そしてやっぱり
生徒さんの減少 < 教室の方針の改訂
という揺るぎない結論にいたりました。
「振替レッスンをやめる」とここで初めて明記しました。ここらへんは生徒さん自身にも心当たりがバリバリあるはずだったので^^;すんなり納得していただいたと思います。
これまで無理を言ってすみませんでしたと言ってくれたお母さん方も複数いらっしゃいました。度がすぎていたという自覚があったようです^^;
これまで、こちらの厚意でお休みした場合の振替レッスンをしておりましたが、レッスン日は生徒さんとのあらかじめお約束している時間なので、大変心苦しいですが、レッスンをお休みされる場合は振替レッスンはしないことにいたしました。
一度に複数の方から振替レッスンのご要望があるケースも発生します。そういう場合、スケジュールを割くのが難しいこと、すべての生徒さんに振替することが不可能だと感じました。ある意味これは生徒のみなさんにとって不公平な対応になってしまうため、生徒さんに公平にレッスンを受けていただくためにも、どうぞご理解いただきたいと思います。
のような感じで書いた記憶があります。
最初は、「振替する時は、私のプライベートな時間を使って振替レッスンしていた」「空いている時間が自由な時間ではない」くらいのことを書いた記憶があります。これでは感情が出てしまっているな💦と思い、↑のような文章に落ち着くまで何日も寝かせました(笑)

文章を考えるときは、クールダウン、クーリングオフ期間を設けることをお勧めします。
そして、2回目。それから3、4年後くらいでしょうか。
まずは、新入会の生徒さん向けの「レッスン規約」というのを作成しました。
ここ意外と大事でした。新入会だからこそ受け入れてもらいやすかったのと、その後の在籍生徒さんへの告知がしやすくなったからです。
さらに、レッスンコース、カリキュラム、改定後の月謝のシステム等々、それぞれすべて書面にしました。
本来なら、「教室リニューアル」のお知らせと、「レッスン規約」は同時に配布した方がいいです。これはメルマガ講座で書いたとおりです。
私の場合は一回で済まなかったものですから💦いたしかたなくレッスン規約は後になってしまいました。
新入会の生徒さんは、ここが入り口ですからご理解いただいて入会していただきました。
ここで気づいたことがありました。
「最初から規約等を渡しておくと、以前あったような休み方をする生徒さんは皆無、レッスンにこれない用事があった場合、いさぎよくレッスンを休む選択をしてくれるし、振替レッスンの要求もないんだ!」
ということを。
この時点でまだ、在籍生徒さんとの月謝額の開きがあったので、その数ヶ月後に、すでに在籍している生徒さんへ「レッスン規約」と「レッスンコース」「月謝のシステム」を改めて書面にして渡しました。
1回目の改訂をもう少し具体的に、レッスンコースや、カリキュラムを新たに加えることとで月謝の額も500円〜1000円の値上げになることをお伝えしました。
2回目は単純に月謝の値上げが目的(当初私が望んでいた価格帯にした)の改定でした。
ちょうど、グランドピアノを入れ、レッスン室専用の部屋を離れに作ったところだったので、レッスン環境を一新したということも後押しして1回目よりも恐怖感(笑)はそれほどでもなかったと記憶しています。
2回のリニューアルの結果、誰1人退会される生徒さんはいませんでした。
心からほっとしました( ・ ・̥ )
それ以来、1レッスンコースなどを新設したものの大きく改訂せずに今に至ります。
最後に、私が生徒さんへ発信した内容について書いていきますね。箇条書きにしていきますので、使えそうなフレーズだなと思ったら、参考になさってください^^
・いつもお子様のレッスンのためにご理解、ご協力をいただきましてありがとうございます。おかげで◯◯ピアノ教室も今年で◯年を迎えることができました。
・これからも生徒の皆様へ、レッスン効果を上げ、音楽を楽しんでもらえるレッスンの提供をさせていただくために、以下の通り変更させいていただきたいと思いますので、何卒ご家族の皆様のご理解とご協力をいただきたいと存じます。(レッスンコースやレッスンメニューの新設などの生徒さんのメリット面を最初に書く)
・当教室では、長年、ピアノ教室の相場よりも良心的なお月謝でレッスンさせていただいておりました。◯年にレッスン室を新しく作り、グランドピアノを設置いたしました。
生徒さんのために新たにレッスン環境を整え、レッスン内容につきましても以下のような指導を取り入れましたので、大変恐縮ですが、当教室でもピアノ教室の相場でもあるお月謝にさせていただくことにいたしました。
・これまで通り、入会金、冷暖房費等は一切発生いたしませんのでご安心ください。
・ご家族の皆様のご理解とご協力があってピアノ教室を運営していける側面も大変大きく、ご家族のみなさま、講師ともに協力しながら、生徒さんのためのよりよいレッスン環境、システムを守っていきたく存じますので、何卒、今後ともよろしくお願いいたします。
より一層のレッスン内容の向上に尽力する次第でございます。何卒よろしくお願いいたします。
・ご不明な点がございましたら、遠慮なくご相談ください。お月謝の変更がある生徒さんには個別にお知らせいたしますのでよろしくお願いいたします。
みたいなことを書きました。
特にお月謝の値上げに関しては、非常にデリケートな問題です。実際は、月謝額に変更がない生徒さんもいましたし、500円のアップでもきょうだいで習っている方は、1,000円アップになってしまうので、そのあたりも生徒さんに丁寧にご説明しました。
そして、生徒さんの現状の月謝を見て、1,000円以上の値上げにならないタイミングまで発信する時期を待っていました。
とにかく何ヶ月も前から考えに考え抜いて、準備をしました。文章も何度も推敲し、数日経ってからまた読み直し、生徒さんの信頼と、期待を裏切らないことに神経を注ぎました。
私ほどの大改訂はなかなかないと思いますので、おそらく皆さんの場合はまだやりやすいのではないかと想像します(笑)
だいぶ皆さんの背中を押せたのではないでしょうか^^;
新しく楽器を搬入したタイミングや、レッスン室改装のタイミング、出産育児明けのタイミングを逃してしまったな、という場合でも大丈夫です。
リニューアルを告知する時に、それまではこちらの好意で相場より安くレッスンさせいただいていた、ということをアピールします。
そして、何かしらのプラスαの要素をセットにして、リニューアルを実施するという方法でも大丈夫です。
もちろん、何も変更点がなくリニューアルは無理ですから💦
リニューアルする前に、何か変えるべきこと、新しく取り入れるべきこと、レッスン内容でも、レッスン室の改装でもなんでもいいので、自分の教室を見直してみてください!


